なーんちゃってダウンリバー in 日置川
May 2005
今年のGW、特にどこにも出かけることなく、特にこれといったイベントも無く過ぎ去っていった。“外遊びが、したい・・・”悶々と日々を過ごしていたら、はたと気が付いた。5月11日、平日の休みだ!鮎の解禁までMamaの天敵釣り師もいないだろうから、カヌーで遊ぼう。という事で、早速行き先を物色。検討の結果、日置川にチャレンジする事に。先輩パドラーのHPで情報を収集すると、今までに経験した事のない“瀬”が何箇所かあるようだ。少しの不安と、それよりも大きなワクワク感を胸に、数日前から気持ちは日置川へと飛んでいた。

スタート地点の、宇津木橋
パドル、PFDなどの荷物は、前日に積み込み完了。もちろんNewGoodsの折りたたみ自転車BD-1も、積み込んだ。キャンパーは朝6時に起きてコーヒーを飲んで直ぐに、カートップ完了。じろじろが中学校へと家をでる8時になるのをいまかいまかと待って、じろじろの登校と同時に我が家を出発。近畿自動車道から阪和道経由で、日置川へというルート。ところが、休日なら10分もあれば高速のインターまで行くところが、平日の8時。渋滞につかまり30分ものロス。日置川沿いの道路工事で交通規制にかかってここでも、20分足止めを食らう。結局、スタート地点を予定の大から宇津木橋に変更し、12時少し前にようやく到着した。ふ〜、・・・。
早速、ダウンリバーの準備準備。途中車窓から見た日置川、綺麗だったな・・・。でも流れは結構急みたいだったな・・・。などと思いながら、準備完了。宇津木橋の下から、ダウンリバースタート!抜群の透明度と言う訳ではないけれど、心地よい穏やかな流れの中をゆっくり進む。漕ぎ出してまもなく左岸に、広い河原が現れた。気持ちの余裕が出来たところで、お腹がペコペコな事に気づいた。Mamaにジャブを、「左側の河原に上がってみようか?お腹もすいてるやろ?」するとMamaから「お楽しみはもうちょっと先にね!カヌー、楽しいし!」と言うカウンターであえなく、僕の計画はKO!結局、もう少し先の右岸に上陸して、お待ちかねのランチタイムとしばしの休憩をとる。
ランチポイントで、初のスリーショット

のどかな風景
ようやくお腹もMamaの作ってくれたおにぎりとおかずで満たされ、再び川へ。と、河原でくつろいでいると、下流から今までより大きな水の音。どうやら本日最初の瀬が直ぐそこにあるようだ。下見(スカウティングと言うらしい)に行ってみた。川の中央から左岸にかけて、浅いざら瀬。右岸側にルートがあるが、流れが速い上に右岸へまっすぐに流れが向いている。おまけに瀬から右岸まで、距離が無い。この速い流れの中を瀬を超えてすぐ、バウを左に向けて方向を変え右岸にぶつからずにクリアーできるだろうか?ふと見ると、川の真ん中ざら瀬の中に別ルートを発見。でもここを行くには、カヌーを犬のお散歩のように引っ張る(ライニングダウンと言うらしい)ことになりそうだ。
決断は、早い!カヌーを引っ張って真ん中のルートをクリアー。それでも左に向きを変えるのに手間取り、右岸ぎりぎりまで流された(汗)。まっ、とにかく無事クリアー!それからしばらくは、再び穏やかな流れの中で戯れていた。すると突然Mamaが、「釣りしてる!」鮎ではないと思うけど、長い竿を川に差し向けている。青蓮寺湖で釣り人に怒鳴られて以来、釣り師はMamaの天敵に。「岸に上がって、カヌー運ぼうか?」と聞くと、「釣りしてるおっちゃんの後ろをゆっくり通ろう。」と、Mama。静かにゆっくりと、カヌーを進めて行く。釣り師の後ろあたりまで、カヌーが進んだ時、声を掛けてみた。
「邪魔しますね〜。」と、僕。すると、「そんな浅いとこ通らんと、もっと深い所行ったらええのに。」と、釣り師。「でも、そっちへ行くと釣りの邪魔に成るなーと思って・・・。」その後、釣りのおっちゃんは言葉を発する事は無く、僕たちの方をとっても穏やかで、とってもやさしい、とってもいい笑顔で、見つめていた。おっちゃんの姿が小さくなった頃Mamaに、「釣り師の中にも、あんなええ感じのおっちゃんもいてはるんやな。」と言うと、「でも、鮎釣りの時期は絶対いややで!川一杯の釣り師と、無数の長い竿を想像するだけで、あかん!」青蓮寺湖での釣り師との一件が、トラウマになっているようだ。あの時あの釣り師と、思いっきり喧嘩しといたほうがよかったのかな?Mamaのトラウマがなくなる方法は、パドリングテクニックを磨いて思い通りにカヌーを操れるようにするほか無いのかもしれない。時間をかけても、いやな記憶を取り去ってあげなくては。カヌーで川を下る事はとっても気にっているようなので、ずっとカヌーを好きでいて欲しい。そんな事を考えながらダウンリバーをしていると、やって来ました本日二つ目の“瀬”!今回もカヌーを岸につけて、岸からスカウティング。
さっきの瀬よりも、手ごわそうだ。本流が軽く左に曲がっていて、右岸側から左岸側へ流れが落ち込んできている。流れも急で、落差も結構ある。左岸側に流れの比較的緩やかなルートがあり、そこへアプローチする事にした。瀬に突入して越えたあたりで、バウが少し左に振れすぎた。後ろからの流れで、急激に左に向き方向を修正するまもなく左岸の少し段になっている河原へと乗り上げ、勢いがあったのでその反動で川まで戻った。結果、バウはまっすぐに川下を向いて、何事も無かったかのようにまたゆっくりと流れの中を進みだした。心臓バクバクものの瀬も、何とかクリアー。思い通りにカヌーを操るのって、むずかしいと改めて痛感。
しばらくはまたゆっくりと、Mamaといろんな話をしながら下って行く。スタートが遅かったので、そろそろゴール地点になる場所も考えなければならない。ずーっと下流まで下ってしまうと、スタート地点に自転車で戻る際にまた通行規制に引っかかって足止めを食らう可能性が大。まっ、適当な場所があったらそこで終了という事で、のんびり川下り。折りたたみ自転車BD-1のお陰で、とってもお気楽。でもそれ故に、絶対沈してBD-1も川の底ってな事態だけは避けなければならない。などと、考えているうちに問題発生!前方に、堰堤が迫ってきた。当然、右岸に上陸してスカウティング。一番左岸よりに通れそうなルートがある。
流れが急である事と人工物や岩が水面下に隠れているかも知れず危険と判断(実は、怖くて尻尾巻いて逃げただけです...笑)、右岸から2人でカヌーを持って堰を越える。ふと対岸を見ると、車の進入が可能な岸を発見。さて問題は、急な流れの中をどうやって対岸まで行くか?フェリーグライドってテクニックがあることを何かの本で読んだ事などまったく忘れていて、とにかく何とか向こう岸まで行く事で頭の中は一杯だった。とにかく行ってみようと言う事で、流されないように川下側をしっかり漕いで行こうと打ち合わせて、いざスタート!流れに負けまいと、川下側を2人で必死に漕いでいたので、バウが川上を向き出した。
その状態で角度を保って川上に漕げばきっとフェリーグライドで移動できたろうけど、パニック状態の脳みそはバウが川上を向くとバックで流されて危ない(怖い、かな?)と判断、とっさにバウを川下に必死で向けた。で、そこからとった作戦は、「各駅停車作戦」 まず、川の中央近くの浅瀬に向けて突進、そこでバウを今度目指すもう少し向こうの小さな中州へと向けまたまた突進。そして、対岸の目的地へまたバウを向け、ひたすら突進!やっとなんとか、対岸までたどり着けた、やれやれ・・・。無性に喉が乾いたので、クーラーボックスからペットボトルのお茶をがぶ飲み。Mamaも、がぶ飲み。なんとコーディーまでも、がぶ飲み。やっと落ち着いた。
落ち着いたところで、BD-1の組み立てにかかる。折りたたむ時も、組み立てる時もとっても簡単。なかなか良い買い物を、したのかもしれない。BD-1に跨って、いざ!スタート地点の、宇津木橋へ向けて出発!出発間際、一緒に行きたがってか、僕を後追いするコーディーが、とってもいとおしかった。スタート地点まで、約20分で到着。学生時代復習などした事はなかったが、自転車で戻る道中、道から川を眺めては今日のコース取りやプランニングなど、あれこれと振り返っては復習した。道の上から見る日置川はまた違った姿を、見せてくれた。また、訪れてみたいと思った。きっとまた、来るだろう。よーく川の姿を目に焼き付けて帰ろう、今度来るその時の為に・・・。BD-1を折りたたんで、ウェットスーツを脱ぎ捨てて、Mamaとコーディーの待つあの岸へと、アストロをスタートさせた。
宇津木橋からえびね温泉対岸の堰堤を越えた岸までの、僅か7kmほどのダウンリバー。いや、ダウンリバーと呼ぶにはお粗末過ぎるかな。“なーんちゃって、ダウンリバー”ってところでしょうか。でも、僕とMama(コーディーもかな?)にとっては、とっても貴重な体験の連続だった。緊張もした、ちょっとしたパニックにもなった、素敵な笑顔の釣りのおっちゃんにも会えた、八草の滝への岸辺で休んでいるカヤックの女性と川の上から挨拶をした、初めて自転車で山道を走った。今までに無い経験としては、ダウンリバーをもっともっとしてみたいと本気で思った。これから、どんな経験が待っているんだろう?なんだか、ワクワクしてくる。川に接するにあたって、いつまでも臆病であろうと思った。そうしている限る、川は楽しい時や思い出を分け与えてくれるような気がする。川よ、これからもよろしくな!

向平橋から堰堤を望む
2005/5/11